2010 Fiscal Year Annual Research Report
アセチルコリン神経を標的基盤とする精神病認知機能障害に対する創薬アプローチ
Project/Area Number |
09J03050
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
香田 健 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 統合失調症 / 認知機能障害 / アセチルコリンエステラーゼ阻害薬 / 長期隔離飼育 / プレパルスインヒビション障害 / ムスカリン性アセチルコリン受容体 |
Research Abstract |
既存の抗精神病薬では治療が困難とされる統合失調症の認知機能障害の病態解明、ならびに新規治療標的の探索を目的に検討を行った。研究実施計画に基づき、アセチルコリン(ACh)エステラーゼ限害薬であるガランタミンとドネペジルの臨床における薬理学的なプロファイルの違いを明らかにすることを目的に検討を行った。これまでに、両薬物の作用の違いを検出できるモデルとして考えられる長期隔離飼育マウスにおいて、認知機能障害を反映する感覚情報処理障害に対するガランタミンの改善効果には、ニコチン性ACh(nACh)受容体ではなく、ムスカリン性ACh(mACh)、特にM_1-mACh受容体が関与していることを明らかにしてきた。そこで、両薬物のM_1-mACh受容体に対する作用をin vitroならびにin vovoの実験系を用いて検討を行った。In vitroでは、神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞での、M_1-mACh受容体を介する細胞内Ca^<2+>濃度の増加を指標に、ガランタミンとドネペジルの作用について追究した。その結果、ドネペジルが用量依存的に細胞内Ca^<2+>濃度の増加を抑制することを見出した。一方で、ガランタミンは何ら影響を与えなかった。In vivoでは、M_1-mACh受容体アゴニストである遅デスメチルクロザピンによる大脳皮質細胞外ドパミン量の増加を指標に、両薬物の作用について追究した。その結果、in vitroでの結果と同様に、ドネペジルがM_1-mACh受容体を介するドパミン遊離増加作用を抑制することを見出した。以上のことから、両薬物の薬理学的なプロファイルの違いにはM_1-mACh受容体に対する作用の違いが関与していることが示唆された。
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Research Products
(7 results)