2009 Fiscal Year Annual Research Report
光環境による樹木の細根生産の変化が土壌動物群集の構造とその機能に与える影響
Project/Area Number |
09J03052
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 佐織 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | トビムシ / 細根 / 根滲出物 / 窒素無機化 |
Research Abstract |
本研究計画の目的は「植物が細根を通して土壌動物群集に与える影響と土壌動物の機能に与える影響を総合的に解明する」ことである。細根は土壌動物にとっては炭素供給源、植物にとっては養水分吸収器官として機能しており、地上部と地下部を行き来する物質の経路となっている。光環境は植物のみならず、これら細根を経由した物質のフローを変えることで土壌の炭素/養分バランスに大きく影響を与えていると考えられる。この土壌中の炭素/養分バランスの改変は土壌動物にも影響を与え、土壌動物がもつ窒素(N)無機化促進などの機能、それによる植物体へのフィードバックにも大きく関与してくると考えられる。本研究では、下位の栄養段階にあり、植物からの影響を受けやすく、微生物を摂食することで菌糸成長や微生物間の競争関係に関与して、窒素無機化速度や植物の成長に影響を与えることが知られているトビムシ目を実験動物として用いた。本年度は光条件を操作したビニルハウスにおけるポット実験系を設立し、光条件が土壌中CNバランスやトビムシの機能に与える影響について調べた。土壌サンプリングの結果、明るい条件では土壌中の無機態N濃度が低くなることが明らかになった。これは光条件が植物のN吸収能力に影響を与えたためと思われる。トビムシの効果は微生物を摂食し、無機態N濃度を低下させるというものであった。無機態N濃度の変化は、トビムシが微生物を過度に摂食したことにより、N無機化速度が落ちたためか、植物-微生物間の競争が緩和され植物によるN吸収量が増えたためという二つのメカニズムが考えられ、これは実験終了時に破壊調査により植物体のN含有量の測定を行えば明らかになると考えられる。また、これらのトビムシの効果は暗い条件下で程度が大きくなった。明条件では無機態N濃度が極めて低かったために微生物活性が低く、そのためにトビムシの活性も低くなったのかもしれない。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Genetic Diversity of the Formosan Subterranean Termite, Coptotermes formosanus Shiraki in Relation to the Distribution of Staphylinid Termitophiles2010
Author(s)
Yamada,A., Saitoh,S., Tokuda,G., Fujii,S., Endo,N., Ueshima,E., Tawa,Y., Miyagi,M., Makiya,H., Shinzato,N., Lee,C-Y., Tsunoda,K.
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Journal Title
Proceedings of the Seventh Conference of the Pacific Rim Termite Research Group, Singopore
Pages: 89-94
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[Journal Article] A new method for placing and lifting root meshes for estimating fine root production in forest ecosystems2009
Author(s)
Hirano,Y., Noguchi,K., Ohashi,M., Hishi,T., Makita,N., Fujii,S., Finer,L.
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Journal Title
Plant Root 3
Pages: 26-31
Peer Reviewed
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