2010 Fiscal Year Annual Research Report
光環境による樹木の細根生産の変化が土壌動物群集の構造とその機能に与える影響
Project/Area Number |
09J03052
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 佐織 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細根 / トビムシ / 根滲出物 |
Research Abstract |
本研究計画の目的は「植物が細根を通して土壌動物群集に与える影響と土壌動物の機能に与える影響」を総合的に解明することである。細根と土壌動物の関係は、そのリンクの重要性が近年注目されてきているがまだ未解明な点が多い。本年度は、光条件が細根を介してトビムシの機能に与える影響について調べるために昨年より続行していたポット実験の最終サンプリングを行った。その結果、明暗両条件においてトビムシ入り処理では土壌中の微生物量が減少し植物の成長が良くなり、またその効果は暗条件よりも明条件で大きくなった。この研究はまだ完結していないが、この結果はトビムシが微生物を摂食することで植物-微生物間窒素獲得競争が植物側に有利に働いたということを示唆し、その効果の強さが地上部の光環境で変化するということを示す。今後、植物養分濃度、土壌C/N等の分析を行ってそのメカニズムを推定する予定である。また、上記の実験に加えて、植物が細根を介してトビムシの群集組成に与える影響を野外操作実験により調べた。ヒノキ林林床において根がある場合とない場合の2処理を作りだし、各処理間のトビムシ群集組成の比較と各処理において群集を制御する要因を調べた。根の有無によってトビムシ目全体の個体数、種数、優占種の順位に大きな違いはなかった。しかし、根が無い場合はトビムシの種によって個体数の制御要因(pH、C/N等)が異なっていたのに対し、根がある場合は多くの優占種が光合成生産の指標である植物の葉重量に制御され、PCAにより算出された1軸も葉重量とのみ高い相関をもった。この結果より、トビムシの生育にとって根は必要不可欠なものではないが、根がある場合には、葉における炭素生産が根を介してトビムシ群集を制限するようになると推察される。
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Research Products
(3 results)