2009 Fiscal Year Annual Research Report
有機ヨウ素(III)反応剤を利用する新規結合形成反応の開発
Project/Area Number |
09J03121
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 元気 Osaka University, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 有機ヨウ素(III)反応剤 / カチオンラジカル / C-H官能基化 / クロスカップリング / ビアリール / グリーンケミストリー |
Research Abstract |
芳香族化合物への炭素-炭素結合形成において、遷移金属を用いて官能基化された芳香環同士をカップリングさせる段階的な手法が現在汎用されているが、工程数を要し、等量の金属廃棄物を副生するため、より直接的で廃棄物の少ない合成法の開発が求められている。官能基化を必要としない酸化的手法は、本点を解決できる有用な手法となり得るが、概して選択性に問題があり、特に混合ビアリール体を選択的に得ることは困難である。一方、申請者の所属する研究室ではこれまでに緩和で毒性の低い超原子価ヨウ素反応剤が重金属酸化剤に代わる酸化剤となることを明らかとし、3価のヨウ素反応剤を用いた電子豊富芳香環のカチオンラジカル種生成を鍵とする芳香環への直接的求核種導入反応を見出している。本法を応用し、選択的なカチオンラジカル生成による先例のないクロスカップリングも報告した。(J.Am.Chem.Soc., 1994, 116, 3684 ; Angew.Chem.Int.Ed., 2008, 47, 1301.)これらの反応は金属廃棄物を一切副生しない環境調和型の炭素-水素結合の直接的変換反応である。(Tetrahedron, 2009, 65, 10797.)さらに最近では、ジアリールヨードニウム塩を中間体とするヘテロ芳香環のクロスカップリングを見出し、安定な本中間体を活性化し、アリール化剤として用いる本手法に興味が持たれる(J.Am.Chem.Soc., 2009, 131, 1668.)。そこでこの活性化法をさらに精査することで、本中間体がカチオンラジカルを生成し、イプソ置換反応が進行することを明らかにした(Angew. Chem. in press.)。また、本中間対の一般合成法を検討し、溶媒を選択することで従来にない化学選択性で様々な芳香環から水のみを副生成物として直接合成できることを見出した(Molecules, 2010, 15, 1918.)。
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Research Products
(5 results)