2009 Fiscal Year Annual Research Report
線虫の胚発生における細胞の大きさに依存した紡錘体伸長の制御機構の解明
Project/Area Number |
09J03143
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
原 裕貴 The Graduate University for Advanced Studies, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 紡錘体 / 紡錘体伸長 / 細胞サイズ / 細胞サイズ依存性 / 線虫C.elegans / コンピュータ・シミュレーション |
Research Abstract |
線虫C.elegansの胚発生初期過程で見られる様々なサイズの割球(細胞)を用いて、紡錘体が伸長する様子を定量的に観察・測定した。その結果、細胞サイズに依存した紡錘体伸長の特徴を初めて理解することに成功した。RNA干渉法により紡錘体伸長の制御に関わる候補遺伝子の探索を行った結果、細胞サイズに依存した紡錘体伸長の制御機構に関与する遺伝子(3量体Gタンパク質)と数種類の関与しない遺伝子を特定することが出来た。これら遺伝子は既存の報告から紡錘体の伸長制御に関わる遺伝子として認識されていたものではあるが、当研究成果により、「細胞サイズ依存的な」紡錘体伸長という新たな機能を発見することが出来た。また、他の生物種では紡錘体の伸長制御に関わることが知られていても、線虫の初期胚では紡錘体伸長にほとんど影響を与えない遺伝子もいくつか発見された。この結果は生物種間の紡錘体伸長の制御機構の違いを考える上で有用な結果となりうる。さらに、コンピュータ・シミュレーションを行うことで、細胞サイズに依存した紡錘体伸長の制御モデルを世界に先駆け提案することが出来た。これら研究成果は、百数年来、現象としては理解されていたがその制御機構までは理解されていなかった、細胞サイズに依存した細胞内構造体のサイズを制御する機構を世界で初めて示したものである。以上の研究成果に関して、Current Biology誌に掲載された共に、6回の学会発表(国際学会での発表を含む)を行った。
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Research Products
(11 results)