2009 Fiscal Year Annual Research Report
墓制の変容にみる死をめぐる感覚と心意の民俗学的研究
Project/Area Number |
09J03180
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡田 真帆 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 墓制 / 心意 / 感覚 / 日常生活 / 死 / 日本文化論 / 葬送儀礼 / 民俗学 |
Research Abstract |
1.研究の具体的内容 3月、7月~8月にかけて香川県観音寺市と奈良県山添村においてフィールドワークを行った。今年度は日常生活における墓地管理と祖先祭祀を主とした行事、位牌・親族図と墓地の対応を聞き取り調査した。また神事儀礼の古文書資料にあたり、死穢の規則化の時代的変遷について調査した。村落社会における墓地の変容にくわえ、家ごとにいかに墓地と死者に関与しているのかを調査し、墓地管理の現状と日常生活における死との関わり方、死の感覚と死穢との差異を明らかにした。 2.研究の意義 これまで墓地は村落社会の入会管理に主眼がおかれ、家ごとの墓地管理も祖先祭祀の文脈から把握される傾向が多くみられた。しかし村落の墓地を構成している石塔や区画は、個人や家と組織化された親族によって管理されている現状をみると、墓地の変化は村落社会と個人または家の墓地管理と相互に連動しているといえる。両者の視点は村落社会からみた場合の総体的な"死者"と、個人あるいは家からみた"近親者の死"という異なる"死"の在り方も提示しており、日常生活における"死"の感覚をフィールドから検討する点で有意義なものといえる。 3.課題 次年度以降は、これまで調査を進めてきた茨城県真壁町の事例とあわせて考察を深め、死の感覚と心意の相互関係について明らかにする。また両墓制を墓制史のなかで位置づけるため、単墓制のほか屋敷墓など多様な墓制と比較しながらフィールドワークを進める。
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Research Products
(1 results)