2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J03181
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
志田 雅宏 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ユダヤ教 / ナフマニデス / 聖書 / 宗教学 / 聖典研究 / イスラエル |
Research Abstract |
本年度の4-6月にかけて、前年度の研究発表をもとに学術論文「ナフマニデスの聖書読解-註解と説教」の執筆にとりかかった。同論文は日本ではほとんど知られていない中世ユダヤ教の聖書の学習様式について扱ったものであり、ユダヤ教をテーマとする宗教学的な聖典研究として表された。私は22年2-3月に同論文の最終的な推敲を終え、3月31日に日本ユダヤ学会に提出した。審査の後、22年度9月刊行予定の雑誌『ユダヤ・イスラエル研究』第24号に掲載される予定である。 8-9月にはイスラエル・ヘブライ大学に渡航し、本研究課題と関わりのあるヘブライ語の文献を調査・収集した。ヘブライ大学図書館と国立図書館、エルサレムを中心とする書籍店などで多くのヘブライ語資料、論文、書籍を集めることができ、また中世ユダヤ教研究の現地での状況を知ることができた。また滞在中にヘブライ大学教授M.Halbertal氏と面会をし、私自身の紹介と研究報告、今後の留学時における受け入れ願いなどをおこなった。Halbertal氏の著作は一部邦訳されている(『偶像崇拝』(法政大学出版局、2007年))が、私自身も彼の研究を日本に紹介する役割を果たすべく準備を進めている。 帰国後私は東京大学宗教学研究室の大学院ゼミで研究発表「中世ユダヤ教における聖典と『イスラエルの地』」を発表した。この発表をもとに同タイトルの学術論文の執筆にとりかかっている。 私の研究はユダヤ人学者ナフマニデス(1194-1270)を中心とするものだが、上記の論文および研究発表では、彼だけでなく中世ユダヤ教の主要な学者たちの著作にも参照しており、中世ユダヤ教の思想史および聖典解釈史へと向かう視座を定めようとするものでもある。また、私はユダヤ教研究の担い手の多くがユダヤ人であるなか、異文化としてユダヤ教にアプローチし、大学院や学会などで宗教学という議論の場において、他の宗教の研究者とも積極的に議論をおこなうことができた。
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