2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J03182
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
秀瀬 涼太 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 大腸菌 / ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ / ジヒドロウラシル / 鉄硫黄クラスター |
Research Abstract |
鉄硫黄クラスター(Fe/S)は、生物界に広く存在するコファクターであり、あらゆる生物にとって必須である。Fe/Sは化学反応の触媒や酸化還元反応の電子伝達体として機能するほか、遺伝子発現制御やタンパク質構造の安定化に関わるなど、その生体内における役割は多様である。Escherichia coliにはFe/Sをもつタンパク質が少なくとも100種以上存在すると推測されている。E.coliにおいて、Fe/S生合成に関わるタンパク質因子群としてiscオペロン(iscSUA-hscBA-fdx)にコードされるISC(iron-sulfur cluster)マシナリーが知られている。しかし、ISCマシナリーが関わるFe/S生合成機構の詳細は未だ不分明である。 E.coli K12由来ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(EcDPD)は、5,6-ジヒドロウラシル(DHU)をウラシルへ酸化する反応を触媒する鉄硫黄フラボタンパク質である。EcDPDは[2-^<14>C]DHUの核酸への取り込みに関与しており、[2-^<14>C]DHUの取り込みに伴う菌体の放射能の増加はEcDPD活性に依存する。研究代表者は[2-^<14>C]DHUの取り込みに伴う菌体の放射能の増加がEcDPD活性に依存する現象に着目し、Fe/S生合成の足場となるIscUの機能に必須なアミノ酸残基の同定をin vivoで初めて行った。IscUの欠損株に野生型IscUやFe/Sの結合に必須と考えられるアミノ酸残基を改変した変異型IscU (C37A, C63A, H105A, C106A, C37H, C63H, H105C, C106H)をコードするプラスミドを導入し、[2-^<14>C]DHUの取り込みに伴う各形質転換体の放射能の増加量を測定した。その結果、変異型IscUを導入した菌体では野生型IscUを導入した菌体と比べて低い放射能を示した。次に、それら各形質転換体のFe/Sタンパク質(グルタミン酸シンターゼ、EcDPD)の活性を測定したところ、変異型IscUを導入した菌体のFe/Sタンパク質の活性は野生型IscUを導入した菌体と比べて低い活性値を示した。これらの実験結果から、変異を導入したいずれのアミノ酸残基もIscUの機能に必須であることが示唆された。
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Research Products
(3 results)