2010 Fiscal Year Annual Research Report
オゾンフラックスモデルを用いた東アジア域における植生の対流圏オゾンの吸収量の推定
Project/Area Number |
09J03195
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
星加 康智 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 気孔コンダクタンス / 落葉広葉樹 / オゾン / モデル / オゾン吸収 |
Research Abstract |
樹木を対象としたオゾンによる植物被害の影響評価に関する研究の多くは、オゾン濃度のみに注目しておこなわれてきた。しかし、実際には、オゾンは気孔を介して葉内に入り被害を与えるため、オゾン吸収量をもとに植物被害の程度を評価する必要があり、これまで幾つかのモデルによる影響評価に関する研究がみられる。しかしながら、従来の研究では、オゾンによる気孔コンダクタンスへの影響が、オゾン吸収量推定の際の気孔コンダクタンスモデルに考慮されていなかった。そのため、オゾンの吸収量を推定するモデルの計算結果における過大推定が指摘されており、これは、広域を対象としたオゾンによる植物被害の影響評価をおこなうために踏まえなければならない事項であると考えられる。 本研究は、まず、野外の調査サイトで気孔コンダクタンスの測定をおこない、既存のモデリング手法によるモデル推定値と実測値の比較から現況のモデルの問題点を明らかにした。気孔コンダクタンス測定値からパラメータ化したモデルは、オゾン濃度の低いサイトにおいて、気孔コンダクタンスをより良く推定できた。しかしながら、モデルは、オゾン濃度の高いサイトにおいて、オゾン濃度の高い季節と、オゾンによる葉面可視障害がみられた季節で過大推定を示した。このことから、オゾンの気孔コンダクタンスへの影響を考慮にいれていないことが、気孔コンダクタンスモデルの問題点として見いだされた。 次に、葉面可視障害と気孔コンダクタンスの関係を調べるべく、野外測定をおこなった。気孔コンダクタンスは、可視障害の被害率が大きくなるにしたがい、低下した一方、水ストレスへの気孔応答に関しては可視障害の被害率がわずか5%程度で鈍化したことを明らかにした。
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Research Products
(4 results)