2009 Fiscal Year Annual Research Report
超低駆動電圧・高効率有機LEDの実現を目指した材料開発及びメカニズム解明
Project/Area Number |
09J03211
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
遠藤 礼隆 Kyushu University, 未来化学創造センター, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 有機EL / 励起子生成効率 / 高効率 / 熱活性 / 遅延蛍光 |
Research Abstract |
有機LED(OLED)のEL外部量子収率(η_<ext>)は、キャリヤバランス(γ)、光取り出し生成効率(η_p)、励起子生成効率(η_r)、PL量子収率(η_<PL>)の4つのファクターからなる。励起子生成効率は、電流励起時において一重項励起子と三重項励起子が1:3の割合で生成されるため、蛍光材料の励起子生成効率は25%に留まる。このことから、25%以上の励起子生成効率を得るためには、三重項励起子の利用が必須である。そこで、新たな励起子生成機構として、熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)の検討を行った。このTADFは、三重項励起準位(T_1)から一重項励起準位(S_1)への逆項間交差後に発光する現象である。通常の発光材料では、S_1とT_1のエネルギー差(ΔE)が大きいために、逆エネルギー移動過程である逆項間交差が生じないためTADFを得ることができない。しかしながら、ΔEが小さい分子により熱エネルギーによっても逆項間交差が可能となり、常温におけるTADFを得ることができる。そこで今回、高効率のTADFを実現する為に、ΔEの小さい材料の探索を行った。分子内にドナー及びアクセプター性の基を導入し、π共役系を切断した分子を用いた。その結果、トリアジン誘導体によりΔE=0.14eVを実現し、常温においてη_<PL>=39%の発光量分収率を得ることができ、η_<TADF>=29%の強いTADFを示した。この分子を用いることにより、電流励起下において高い励起子生成効率を実現できる。ここで、η_<PL>=39%の蛍光材料と比較すると3倍以上の内部量子収率を得ることができ、EL量子収率はη_<ext>=6.8%まで向上することができる。更にΔEの小さい分子を行うことにより、更に高いTADF効率を得ることができ、OLEDにおいて高い励起子生成効率を実現できる。
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Research Products
(4 results)