2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノプリントによる金属ナノ配線技術の確立とフレキシブル電子デバイスへの応用
Project/Area Number |
09J03226
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
海野 徳幸 Tokyo University of Science, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ナノプリント / 金属パターニング / 酸化金属離型膜 / プラスチック基板 / フレキシブルデバイス |
Research Abstract |
本研究は、ハードスタンプを用いたコンタクトプリントによって、透明基板であるプラスチック上に対して金属微細パターンを形成し加工する技術を確立することを目的としている。中でも最も重要な要素は金型表面にコーティングする酸化金属離型膜の転写金属パターン剥離性能である。前年度までに、酸化クロム離型膜を用いて金ナノパターンの転写に成功していたので、本年度は市場要求度の高い銀と銅パターンの転写を試みた。結果、酸化クロム離型膜は銅膜との接着力が比較的強く、PET基板上へのナノパターンの転写が精度良く行えないことがわかった。そこで、より表面エネルギーが低く転写性能の高い酸化金属膜を検討した結果、酸化アルミニウム膜が銅パターンの転写に適していることが分かり、これによってギャップ幅50nmのパターン転写に成功した。更に酸化金属離型膜の転写性能を数値化するために、高アスペクトテストパターンとして反射防止構造(モスアイ構造)の金属転写を試みた。酸化金属離型膜を用いない場合、アスペクト比4程度の金パターンのみしか転写できないが、用いた場合にはアスペクト比10の金パターンが転写できることが分かった。さらに、転写後の金モスアイパターンもまた反射防止機能を持つことも確認できた。また、購入したナノプリント転写装置の転写条件を最適化することで、ギャップ幅20nm以下の金パターンの転写も本技術によって可能にした。続いて、光硬化樹脂を用いたレプリカスタンプよりの作製も試みたが、現状の金属蒸着装置(抵抗加熱型)では樹脂へのダメージが予想より大きかったため、マスタースタンプのクリーニング手法を新たに考案した。これは、一つのスタンプより2種類の金属パターンが得られかつスタンプを効率よく再生できる手法である。この結果は2009年秋に行われたThe 35th International Conference on Micro- and Nano-Engineeringにて学会発表しMicroelectronic Engineeringに投稿、掲載された。
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