2009 Fiscal Year Annual Research Report
生育適温域に発見した'生育変曲点'で機能する植物の温度依存的遺伝子スイッチの同定
Project/Area Number |
09J03230
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小枝 壮太 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | トウガラシ / 温度 / セーシェル / 葉 / 形態 |
Research Abstract |
インド洋上の島国セーシェル諸島にて食用として栽培されているトウガラシ'Sy-2'(Capsicum chinense)を日本で栽培すると,季節により全ての実生が揃って著しい生育障害を引き起こす。生育障害は葉の形態に顕著に現れ,春や秋にはウイルスに罹病したような縮葉になる.しかし,一転して夏には正常な葉が展開し,生育も良好に回復する.今年度はセーシェル産トウガラシ'Sy-2'に見つけた季節依存的な生育異常について、異常を引き起こす環境要因の検討、および葉の形態形成異常についての組織学的観察を行った。'Sy-2'の生育異常には日長は影響せず、温度が影響し、それは24℃を下回ると生じることを明らかにした。また、この温度依存的な生育異常が劣勢の単一遺伝子に支配される形質であることを、交雑後代における分離比より明らかにした。さらに、組織学的観察より、24℃以下では葉身の展開時に細胞分裂活性および細胞分裂方向の異常が認められた。以上の内容を学術雑誌に投稿し、掲載された。また、マイクロアレイを用いて,20℃と28℃で発現量が異なる遺伝子を網羅的に解析したところ,多数の病害抵抗関連遺伝子の発現が20℃において上昇していることが示唆された。RT-PCRによる発現解析からも、病害抵抗関連遺伝子の発現が温度依存的に変化していることが示唆された.以上の結果より,24℃以下で'Sy-2'が病害抵抗性を獲得している可能性がある。
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