Research Abstract |
本研究では,コリオリ質量流量計を対象に,流量測定時に発生する不具合の診断技術を開発することが目的である.この診断技術はフィールドバス技術を利用する事により,システムに負担をかけることなく,不具合を診断する事が可能となる.本調査では,測定流体である液体中への空気混入,および流量計の接液部の腐食の2つの不具合を診断する技術について調査した. コリオリ質量流量計は液体中に空気が混入すると,流量測定に支障を来すことが知られている.従来の研究では,フーリエ変換を中心とする流量算出手法が適用されているが,この手法では,空気混入による影響を明らかにすることができなかった。本研究では,液体中の気泡により,流量計内の流体の物性が過渡的に変動していることに注目し,気液二相流での流量測定にはヒルベルト変換を利用することを提案している.実験調査の結果,空気が混入している測定流体の場合,流量算出手法により流量測定値が異なることを明らかにした.また,ヒルベルト変換を利用すれば,測定誤差を測定流体中の空気の体積占有率(ボイド率)によってのみ評価できることを明らかにした.また,ヒルベルト変換より流量を算出する過程で得られる途中関数の揺動成分に注目することで,空気混入の有無を診断する手法を提案した.この診断手法は実験調査により,測定流体の圧力,流量に関係なく空気混入の有無を診断できることを明らかにしている. コリオリ質量流量計は空気の混入の他に,液体を振動させコリオリの力を発生させている振動管(フローチューブ)の腐食も測定に支障を来す恐れがある.本研究ではフローチューブを強制振動させ,その増幅・減衰特性から,ばね定数を算出する手法を提案した.実験調査の結果,提案する診断指標であれば,測定流体の圧力,流量に関係なくばね定数を評価できること,理論モデルにより温度の影響を補正できることを明らかにした.
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