2009 Fiscal Year Annual Research Report
ファーマコプロテオミクスによる薬物の脳移行機構の解明
Project/Area Number |
09J03270
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 克彰 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | トランスポーター / 血液脳関門 / プロテオミクス / 薬物動態 |
Research Abstract |
当初、実験動物としてマウスにおける解析を計画していたが、予備検討により、脳毛細血管におけるトランスポーター発現量プロファイルは、マウスと比較してサルの方がヒトに近いという結果が得られていた。従って、サルとマウスのどちらを実験動物として用いるかを決定するために、上述の予備検討に関する本実験を行った。その結果、血液脳関門におけるトランスポーター発現量プロファイルは、マウスと比較してサルの方がヒトに近いことが示された。加えて、in vivoにおけるinfluxトランスポーター機能を定量的に解明する上で、年齢などの個人差を考慮する必要がある。しかし、年齢を指定したヒト検体の入手は困難である。従って、年齢差解析においても、実験動物としてサルとマウスのどちらを用いるかに関して、サル血液脳関門におけるトランスポーター発現量の年齢差を解析し、齧歯類の既存の報告と比較することで検討した。その結果、サル血液脳関門におけるトランスポーター発現量の年齢差は、報告されている齧歯類における年齢差とは異なる結果を示し、これは齧歯類と霊長類において脳の発達度が異なるためであると考えられた。これら研究成果から、サルを実験動物として用いることが妥当であると考え、in fluxトランスポーター候補として、SLC(solute carrier)トランスポーターを中心に、サル脳毛細血管における発現量の定量を行った。その結果、薬物を輸送することが報告されているSLCトランスポーターとしてLAT1、ENT1の発現量の定量に成功し、加えてこれらトランスポーターの発現量の年齢差を解析した。この成果は、これらトランスポーターの発現量(モル数)を基にした、薬物の脳移行予測に繋がるものである。さらに今後は、influxトランスポーター候補分子として、多くの薬物輸送を行うこと報告されているSLCトランスポーターであるOAT(orgnic anion transporter)family,OATP family(organic anion transporter polypeptide)を重点的に解析していく予定である。
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Research Products
(5 results)