2009 Fiscal Year Annual Research Report
Ras-Raf-ERK経路新規抑制因子Spredの生理機能解析
Project/Area Number |
09J03319
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡元 冬樹 Kyushu University, 医学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | チロシンキナーゼ / MAPキナーゼ / 造血 / ノックアウトマウス / コンディショナルノックアウト / ミスセンス変異 / 神経繊維種症1型様疾患 |
Research Abstract |
Spredはチロシンキナーゼ型受容体シグナルを抑制する細胞膜関連タンパク質である。哺乳類では、Spred1-3が同定されている。Spredの生体内での機能を解明するためにノックアウト(KO)モデルが作られている。Spred-1欠損マウスは、頭蓋骨形成に異常を示した。さらに生後3ヶ月以上経過すると脾腫を呈し、骨髄性の細胞の増加、巨核球の増加が見られた。Spred-2は大動脈・生殖隆起・中腎(AGM)領域で発現しており、Spred-2欠損マウスはAGM領域からのCD45+細胞数が野生型に比べて増加した。これらの単独欠損マウスの解析により、Spred-1,2ともに造血を負に制御していることを示しているが、マウスが成体まで生育可能であること、胎仔期の発現パターンが似ているため、機能相補が考えられ、Spredの生理機能が詳細に解明されていない。そこでSpred-1,2の両欠損マウスが作製されたが、胎生致死のため問題は解決されなかった。そのため、部位特異的に両欠損マウスを作製することが必要とされる。今年度は、キメラマウスとFLPeトランスジェニックマウスを交配させることで、Spred-1コンディショナルKO(cKO)マウスを作製した。今日までSpredの詳細な解析はノックアウトマウスやin vitroでの解析であり、ヒトでの臨床的報告はされていない。神経繊維種症1型様疾患患者でSPRED1のナンセンス変異があることが国際共同研究により報告された。さらに、同疾患患者を調べると、ミスセンス変異があることがわかった。そこで、これらのミスセンス変異体をクローニングし、SPRED1の機能への影響を調べた。ほとんどの変異体で影響は見られなかったが、EVH-1ドメインの変異体でレポーターアッセイ、ERK活性化、神経突起形成能などの活性が抑制されていることがわかり、EVH-1ドメインの活性への重要性がはっきりと示された。
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Research Products
(2 results)