2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J03322
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀井 泰之 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Belle / B中間子 / CP / CP非保存 |
Research Abstract |
クォークにおけるCPの破れの角φ_3は、他の角φ_1、φ_2に比べて測定精度が悪く、精度向上が望まれている。角φ_3の測定は、ツリーダイヤグラムが支配的な過程を用いて行われ、CPの破れを用いた新物理探索において基盤的な役割を担う。 本研究では、Belle実験で収集された7.7億のB中間子対を川い、B^-→DK^-崩壊の解析を行った。ここで、DはD^0中間子またはその反中間子を表す。D中間子の崩壊としてD→K^+π^-を用いる事で、D^0中間子を介する過程とその反中間子を介する過程の干渉の効果が信号事象数に大きく現れ、角φ_3の有用な情報を抽出できる。 この過程は非常に強く抑制されているため、背景事象の詳細な研究が必要となる。最も重大な背景事象は、e^+e^-→qq(q=u, d, s, c)過程に起因するものであり、Belle実験におけるこれまでの標準的な分離方法は、終状態の粒子の飛行方向を主に用いるものであった。本研究では、新たに、信号事象において対として生成されるべきB中間子の情報などをニューラルネットワーク法を用いて加える事で、分離効率の飛躍的改善に成功した。結果として、世界初となる信号の証拠を4.1σの有意度で得、崩壊分岐比を世界最高精度で測定した。 得られた崩壊分岐比を用い、すでに測られているB^-→D_<CP>K^-崩壊に関する観測量やD→K^+π^-崩壊の強い相互作用位相も合わせる事で、φ_3=89°^<+13°>_<-16°>を得た。本研究により、φ_3測定の新しい可能性が示され、小林・益川模型がより詳細に検証された。
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Research Products
(5 results)