2009 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜症のラットモデル実験系を用いた病変形成機序の解明と新規治療法の探索
Project/Area Number |
09J03393
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
梅澤 雅和 Tokyo University of Science, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 接着分子 / 細胞外マトリックス / 子宮内膜症 / 病態モデル / 自家移植 / マイクロアレイ / 医学主題見出し用語 / アノテーション解析 |
Research Abstract |
子宮内膜症病変モデルの形成の引き金となる反応の探索を目指し、子宮内膜の自家移植により腹膜組織に誘導される遺伝子発現変動の詳細を明らかにした。我々は、科学研究費補助金の採用期間直前にマイクロアレイ法による解析を行っていた。当該年度では、初めにそのマイクロアレイデータの精度の確認を進めた。その結果、データの信頼性を確認することができ、病変形成の最も早い段階から生じる大きな変化や、病変形成後に大きく発現亢進し本疾患の診断指標になる可能性のある変化を捉えた。本データの解析にあたり、マイクロアレイデータの新しい解析法の確立を試み、これに成功した。この解析法は、遺伝子を様々な分類用語(医学主題見出し用語等)でアノテーションすることにより、アレイデータ全体から生物学的意味を抽出することのできるものである(本法はすでに他の生命科学分野の研究でも通用することが示され、さらなる進展が期待される)。本研究にこれを適用した結果、子宮内膜症病変モデルにおけるサイトカイン及びケモカインの顕著な発現亢進に先行して、接着分子や細胞外マトリックスに関連した遺伝子発現亢進が起こることが明らかになった。この結果は、移植された子官内膜組織が周囲の組織に対して極めて速く接着分子のシグナル伝達系を活性化させ、これが炎症反応を誘導することを示唆するものである。次年度は、免疫組織化学法等を用いることにより、接着分子及び細胞外マトリックスの直接的な相互作用を解析する予定である。これを明らかにすることができれば、子宮内膜症病変組織の形成メカニズムの詳細が明らかとなり、本疾患の新規治療法の確立のための重要なデータになることが期待される。さらに今後の研究では、薬物だけなく食品成分から、この病態モデルの病理及び生化学的反応を変化させるものを探索し、本疾患の治療法のみならず予防法についても可能性を探索する予定である。
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