2010 Fiscal Year Annual Research Report
マダガスカル北西部乾燥落葉樹林におけるチャイロキツネザルによる種子散布
Project/Area Number |
09J03399
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 宏樹 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 種子散布 / 相利共生 / 採食行動戦略 / 環境要因 / 霊長類 / マダガスカル / キツネザル |
Research Abstract |
平成22年度は、4月から1ヶ月半、マダガスカル北西部アンカラファンツィカ国立公園でチャイロキツネザルが採食する餌資源のサンプルを採取し、帰国後、霊長類研究所で栄養分析を行った。この分析により、チャイロキツネザルが水分の乏しい乾季に、積極的に水分の多い多肉質の葉を採食し、夜間はエネルギー源となる果実を採食することを示唆する結果を得た。 2006年12月から1年間行ったアンカラファンツィカ森林でのチャイロキツネザルの行動観察データと環境要因との関係を分析した。乾季の昼間は、乾燥と日射による熱のストレスによる体温上昇と水分損失を回避するため、体温調節として休息することが示唆された。この内容は2010年9月に行われた第23回国際霊長類学会において発表し、優秀発表賞を受賞した。また、霊長類学雑誌に論文を投稿し、査読中である。 上記にある暑熱ストレスによる日中休息、水分摂取のための日中の葉の利用、エネルギー摂取のための夜間果実採食は、霊長類の中でもチャイロキツネザルを含むEulemur属に特有である日中も夜間も活動する「周日行性」の適応意義を説明する新たな仮説となる。この周日行性に関する新仮説を2011年3月に行われた第58回日本生態学会において発表した。 また、1年間の野外調査ではチャイロキツネザルの糞中に含まれる種子の種類や個数を調べた。この糞分析データと行動観察データを対応させた分析を進めた結果、乾季の暑熱ストレスで葉の利用に切り替わることで糞中に含まれる種子数が減ることが明らかになった。散布動物の環境への行動的な適応が種子散布機能に影響することが実証された。チャイロキツネザルの採食戦略とその種子散布者としての重要性に関する研究をまとめ、全9章からなる学位申請論文(地域研究博士)を執筆した。審査の結果、平成23年3月に学位を取得した。
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Research Products
(2 results)