Research Abstract |
主鎖型液晶性高分子を一成分とする分子量分布を制御していないブロック共重合体からの,ミクロ相分離を利用した秩序構造の創製とその配向制御,及び主鎖形態が相分離周期構造へ及ぼす影響を評価することを目的として,奇数系BB-nの一種であるBB-5(3-Me)を液晶性セントラルブロック(Bブロック)とし,ポリメチルメタクリレート(PMMA)を非晶エンドブロック(Aブロック)とするABAトリプロック共重合体の合成し,そのモルフォロジーを調査した.BブロックのBB-5(3-Me)は溶融重縮合法により合成し,DSC測定及び広角X線回折(WAXD)測定から,高温から等方相,スメクチックCA相を示し,25℃で液晶状態がそのままガラス化することを確認した.また,^1H-NMR測定より,このBB-5(3-Me)は平均27量体であり,分子鎖両末端はOH基であることを確認し,分子量分散M_w/M_nはGPC測定結果より1.7であった.このBB-5(3-Me)のOH末端をブロモイソブチレート基に変換してマクロイニシエータを得て,MMAモノマーとこれを開始剤とした原子移動ラジカル重合により,目的のブロック共重合体を合成した.このブロック共重合体はM_n=15,000,M_w/M_n=1.5であった.小角X線散乱(SAXS)測定より,このABAトリブロック共重合体は,大きな分子量分散を持つにもかかわらず,規則正しいラメラ状のミクロ相分離構造を形成することを確認した.また,等方相より紡糸した後に液晶温度で十分に熱処理した繊維試料も同じ相分離構造を発現し,ラメラとBB-5(3-Me)の形成するスメクチック層の両者の層法線が一致することをWAXD及びSAXS測定より見出した.さらにSAXS強度プロファイルから液晶成分の形成するラメラ厚を評価したところ11.6nmであり,BB-5(3-Me)はラメラ中で3.5回折り返すと結論付けた.以上の結果より,液晶成分が相分離界面でタイトな折りたたみを形成することで,規則正しいラメラ構造が形勢されるのだと考えた.すなわち,タイトな折り返しによって均一な厚みのラメラを形成し得る主鎖型液晶性高分子を用いれば,分子量分散が大きい系からも精密なミクロ相分離構造を創製できることを示した.
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