2009 Fiscal Year Annual Research Report
主鎖型液晶性高分子の折りたたみ鎖形態を利用した新規構造材料の創製
Project/Area Number |
09J03400
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石毛 亮平 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 主鎖型液晶性高分子 / ネマチック液晶 / 光架橋 / エラストマー / フォールディング / 両末端間距離 / 小角X線散乱法 / 重原子ラベル |
Research Abstract |
(A) 新規の主鎖型ネマチック液晶性エラストマーの合成と物性評価. Matherらが開発した主鎖型ネマチック液晶性高分子にヒドロキシ桂皮酸を有するモノマーを共重合し,光架橋性ポリマーを合成した.^1H-NMRより光架橋剤が仕込み比通りに共重合できることを確認した.この共重合体をネマチック相温度にて延伸することで,モノドメイン・フィルムを調製した.このフィルムに365nmの紫外光を照射すると,桂皮酸由来の二重結合が減少することを赤外吸収スペクトル測定より確認した.すなわち桂皮酸の二量化反応が進行し,光架橋可能であることが分かった.ただし,光架橋後の試料は非常に脆く,力学的測定に耐え得るものではなかった.このエラストマーの脆性は,元のポリマーのT_gが80C前後と比較的高い上に,架橋によってT_gが上昇するためであることがDSC測定から分かった.以上より,主鎖型液晶性高分子のモノドメイン状態の固定化には成功したが,T_gの低減などの課題が残る結果であった. (B)小角X線散乱法(SAXS)によるBB-3(2-Ph)の特異的分子形態の観察(両末端間距離R_<1n>の評価). 末端にラベル重原子としてヨウ素を導入したBB-3(2-Ph)_Iを高温溶液重合法により合成した.^1H-NMRより,ヨウ素化末端が13mol%導入されたことを確認した.これより数平均重合度は15.4と見積もられる.この試料のSAXS強度ΔIをGunierプロットしたところ,最小角域においてその傾きは-85nm^<-2>であった.この値はガウス鎖や規則正しく折りたたまった分子鎖形態では説明できず,先に予想した棒状の形態を示唆する結果である.そこで両末端が重原子化された棒状散乱体に対して理論散乱曲線を新たに計算したところ,傾きは-(nR_<1n>^2)/18になることが分かった.ここでnはセグメント数である.この計算結果と散乱曲線から評価したR_<1n>は17nmであり,棒状形態の仮定の下で重合度から見積もった14nmと比較的良い一致を得た以上の結果より,重水素化試料や中性子線源を用いず,より簡易なSAXS法によって液晶性高分子の分子鎖形態を評価する手法を開発し,その有用性を示すことに成功した.
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Thermotropic Liquid Crystalline Polyimides with Siloxane Linkages : Synthesis, Characterization, and Liquid Crystalline Behavior2010
Author(s)
Shoji, Yu, Ishige, Ryohei, Higashihara, Tomoya, Watanabe, Junji, Ueda, Mitsuru
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Journal Title
Macromolecules
Pages: 805-810
Peer Reviewed
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