2009 Fiscal Year Annual Research Report
オオムギにおけるベタイン輸送体遺伝子群の単離・同定およびその生理的役割の解明
Project/Area Number |
09J03418
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤原 崇志 Nagoya University, 生命農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | オオムギ / グリシンベタイン / 耐塩性 |
Research Abstract |
グリシンベタイン(以下ベタイン)は、植物が耐塩性を獲得する上で非常に重要な適合溶質である。代表研究者は、ベタインを必要とする組織にベタインを輸送し、集中的に蓄積させることで、作物の耐塩性を顕著に向上させることが出来ると推察した。しかし、ベタイン輸送に関する分子機構は殆どが未知である。本研究では、ベタイン蓄積植物であるオオムギにおけるベタイン輸送分子機構の解明を目的とし、研究を行った。 昨年度、研究代表者は、オオムギからベタイン輸送体HvProT2(Hordeum vulgare proline transporter 2)について発現解析を行った。3週間水耕栽培したオオムギ、その後に200mMのNaClを3日間与えたオオムギを用意し、それぞれから葉および根を採取した。葉については、加齢による発現量の違いを考慮し、第2葉から第6葉を別々に採取した。その結果、HvProT2遺伝子の発現レベルは古い葉で高く、塩による発現誘導は見られなかった。次に、HvProT2遺伝子の発現組織を調査するために、in situハイブリダイゼーションを行った。その結果、葉ではメストム鞘細胞、根では側部根冠で発現することが明らかとなった。塩ストレス条件下では、木部柔細胞でベタインが合成されることを考慮すると、木部柔細胞で合成されたベタインがHvProT2によってメストム鞘細胞に集められることが示された。一方、根については、根端部分におけるベタイン合成組織については明らかにされていないが、オオムギはHvProT2を介して側部根冠にベタインを集める機構を備えていることが示唆された。本研究の成果から、導管周縁の木部柔細胞や側部根冠でベタインを集中的に蓄積させることで、顕著な耐塩性の向上が期待できると考えられた。
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Research Products
(2 results)