2011 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト社会主義時代のイスラームと家父長制―中央アジアの定住・農村地域を事例に
Project/Area Number |
09J03423
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
和崎 聖日 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員PD
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Keywords | 社会主義 / ウズベキスタン / 中央アジア / 家族 / 相互扶助 / 生活 / 秩序 / 観察 |
Research Abstract |
交付申請書に記載した「研究実施計画」に照らして、平成23年度における研究の成果について、その具体的内容、意義、重要性を以下で述べる。同年度では、「1年目、2年目の現地調査・分析で明らかになったこと事実を踏まえて、博士論文を完成(執筆・提出)させる」という目的のもと、以下の成果を得た。それは、まず何よりも、当初の計画通り、1・2年目の現地調査とその分析で明らかになった事実を基礎に、補足調査によって得られた資料をも十分に活用することによって、博士論文を1月10日に京都大学大学院人間・環境学研究科へ提出し、平成24年3月4日に公聴会とそれに伴う審査を終えたことである。なお、博士学位の授与は平成24年5月19日に予定されている。 本博士論文によって、交付申請書に記載した「研究目的」(一夫多妻婚を含め、家父長制と呼びうる家族・社会形態を、生活様式、家族生活、イスラームの3つの観点から検討・分析することにより、ポスト社会主義時代の社会変容と農村民衆の日常生活を内部から明らかにすること)に基づいて、ソ連解体に伴う市場経済化と貧困拡大によって、無神論政策から公式に解放され、そして広範に再生したイスラームが地域住民にジェンダーの観点で保守的に解釈されたことが、「保守反動」と表現できるようなポスト社会主義時代の社会変容とそのなかでの農村民衆の日常生活の変化を導いたことを明らかにした。そのほか、具体的に、補足調査では、調査村であるウズベキスタン共和国ナマンガン州ポプ地区サング村において、世帯調査の補足と現地統計・文書資料の収集を中心に行った。また、博士論文を単行本として出版することによる研究成果の社会還元は、博士論文の執筆に苦闘したため、時間的に計画通りに行うことができなかった。これは今年度の課題として、いっそうの研究の深化に向けて精進していく所存である。
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Research Products
(1 results)