2009 Fiscal Year Annual Research Report
実用化に向けた鉄酸化物系高温用熱電発電デバイスの開発と性能評価
Project/Area Number |
09J03439
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野崎 友大 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 熱電発電 / 鉄酸化物 / デラフォサイト / スピネル |
Research Abstract |
高温用鉄酸化物系熱電発電デバイスの開発を目指し、本年度はp型CuFeO_2とn型Fe_3O_4の熱電性能の改善を行った。p型では、固溶限の拡大を狙ってCuFeO_2のFe^<3+>サイトを複数の2価の遷移金属で共置換を行った。Ni^<2+>単置換に比べ電気伝導率の向上が得られ、CuFe_<0.98>Ni_<0.01>Co_<0.01>O_2で最大でZT=0.15(1150K)が得られた。次に熱伝導率の低減に取り組んだ。当初計画していたCuサイトの重元素置換より原料費が安くて済むCuFe_<1-x>M_xO_2(M=Mn,Cr)固溶体の作製を行い、六方晶のCuFeO_2と単斜晶のCuMnO_2という構造の少し異なる物質のリ固溶体CuFe_<1-x>Mn_xO_2で熱伝導率の大幅な低減が得られることを発見した。ただし、CuFe_<1-x>Mn_xO_2では電気伝導率と融点の低下のためZTの向上は得られなかった。固溶体で最大のZTはCuFe_<0.47>Cr_<0.5>Mg_<0.03>O_2の0.11(1150K)であった。その他にもCuFeO_2試料中に直径100~500nm程度の空孔(ナノボイド)を分散させることに成功し、ZTの向上が得られている。n型ではM_xFe_<3-x>O_4(M=Zn,Ni)を作製した。無置換のFe_3O_4でもZT=0.05(900K)が得られたが、900K以上ではFe_2O_3へ酸化してしまった。部分置換によるFe^<2+>の減少による耐酸化性の向上によりx=0.6以上の試料でp型と同じ1150Kまでの安定性が得られた。結果として、Ni_<0.6>Fe_<2.4>O_4で最大のZT=0.07(1150K)が得られた。目標であるZT=0.3には達していないものの、p型CuFe_<0.98>Ni_<0.01>Co_<0.01>O_2・とn型Ni_<0.6>Fe_<2.4>O_4は熱電特性の温度依存性が似ており、熱電発電デバイスの作製が可能であると考えられる。
|
Research Products
(3 results)