2009 Fiscal Year Annual Research Report
両生類のアクアポリン水チャネルの系統進化とそれらの水適応における生理学的機能解析
Project/Area Number |
09J03448
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
尾串 雄次 Shizuoka University, 創造科学技術大学院, 特別研究員(PD)
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Keywords | アクアポリン / 抗利尿ホルモン / 下腹部皮膚 / アフリカツメガエル / 翻訳阻害 / β受容体 / トランスロケーション / 水適応 |
Research Abstract |
無尾両生類の下腹部皮膚には下腹部皮膚型アクアポリン(AQP)が発現し、アルギニンバソトシン(AVT)の調節下で下腹部皮膚から水を吸収する。 1)水棲ツメガエルからクローニングした下腹部皮膚型AQP、AQP-x3はmRNAの発現は検出できるが、タンパク質は検出されない。AQP-x3は他の無尾両生類の下腹部皮膚型AQPより273位のシステイン(273C)を基点として10アミノ酸残基長い(CT-tail)。この273Cに変異を導入すると、AQP-x3が発現し、また機能を持つことが確認された。またCT-tailをアマガエル腎臓に発現するAQP-h2Kに付加したキメラ体を作成したところ、対照のAQP-h2Kは発現したがキメラ体は発現せず、ツメガエルのAQP-x3はこのCT-tailにより下腹部皮膚型AQPの発現を抑え、体内への水の浸入を防ぎ、水中生活に適応している可能性を示した。 2)無尾両生類ではAVTのプロセシング過程で生じる中間体ペプチドであるハイドリン(Hydrin)も分泌し、活性を持つことが知られている。無尾両生類の下腹部皮膚からの水吸収は、hydrinや、β受容体を介した神経系からの調節を受けることが考えられていたが、詳細な報告はされていなかった。そこで、アマガエル下腹部皮膚をモデルとして、下腹部皮膚の水透過量および下腹部皮膚に発現するAQPの局在を指標としてカエル下腹部皮膚における水吸収調節機構の解明を試みた。その結果、アマガエル下腹部皮膚にはAVT受容体とβ受容体の異なる2種類の受容体を介してAQPのトランスロケーションを調節し、水吸収を調節することを明らかにした。
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