2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J03465
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡辺 俊平 九州大学, 医学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | コウモリ / 網羅的検出 / 疫学調査 / 人獣共通ウイルス / コロナウイルス / 野生動物 / 国際情報交換 / フィリピン |
Research Abstract |
世界で頻発するコウモリ由来ウイルス感染症のヒトや動物へのリスクを評価するため、ウイルス種網羅的手法によるコウモリの疫学調査が望まれている。Rapid Determination of Viral RNA sequence (RDV)法は、網羅的ウイルスゲノム検出法として知られている。しかしその検査対象はウイルスの培養上清に限られ、野外検体に応用することは困難であった。そこで本研究では動物組織を検査対象とし得る手法、RDV-SizeFraction法の開発を行った(Watanabe et al., 2010, J. Vet. Sci. Tech)。多くのRNAウイルスは5kbp以上のゲノム(ゲノム分節)サイズを持つため、5kbp以下の分画を除く操作の後にRDV法を行うことで、ウイルスゲノムを選択的に増幅し、感染細胞からの高感度なゲノム検出が可能となった。同手法は、未知のウイルス同定に有用であると考えられる。 上記の改良RDV法や既存の病原体特異的PCR法を利用し、コウモリにおいて網羅的なウイルス探索を行った。その結果、フィリピンで採取したコウモリ腸管検体より、新規コロナウイルス(CoV)の配列を検出した。ウイルス分離には成功しなかったものの、現在までにコウモリからCoVの分離報告例はなく、コウモリCoVの病原性も不明である。そこで本研究では、野外検体を食果コウモリに経口投与することで実験感染を行った。コウモリは臨床症状を示さず、病理学的所見も観察できなかったが、腸管でウイルスゲノムの増幅が示された。検出されたコロナウイルスは食果コウモリを自然宿主とすることが示唆された(Watanabe et al., 2010, Emerg.Infect. Dis.)。
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Research Products
(4 results)