2009 Fiscal Year Annual Research Report
虚血メモリーによる心筋虚血診断:メカニズムの解明と新しい超音波診断法の開発
Project/Area Number |
09J03474
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
増田 佳純 Osaka University, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超音波医学 / 虚血性心疾患 / 画像診断 |
Research Abstract |
虚血性心疾患は胸痛発症後急性期の死亡率が高く、早期の診断が必要になるが、胸痛消失後の診断は臨床においてしばしば困難である。よって、心筋虚血が消失した後でも虚血の既往を診断することができれば、診断率の向上が見込まれることから、このような「心筋虚血メモリーイメージング」が望まれている。心エコー検査は非侵襲的で、低コストに施行でき、外来受診時に即座にベッドサイドで検査可能である。さらに、近年開発された心エコーによるスペックル・トラッキング技術は心筋壁運動における微細な異常を定量的に評価可能であり、この「心筋虚血メモリーイメージング」にふさわしい方法と考える。本研究の目的は、(1)心エコー法による心筋虚血メモリー診断法の開発及び、(2)虚血メモリー効果の発生メカニズムの検討である。平成21年度は特に診断法の確立を目的に研究を行った。 開胸犬を用いた4分冠動脈完全閉塞-再灌流モデルで、再灌流後、壁運動が正常に回復してから、数種類の負荷条件のもとでエコー画像を取得した。得られた画像を解析し、壁運動指標(収縮期および拡張期の心筋ストレインやその時間微分であるストレインレート)の変化を評価し、負荷時に再出現した微細な壁運動異常を鋭敏に検出する方法を検討した。使用薬剤は交感神経α作動薬であるフェニレフリン、β_1作動薬であるドブタミンとした。その結果、虚血再灌流後の壁運動異常が回復した後でもフェニレフリンを用いて軽度圧負荷を行うことにより、潜在的な異常を検出できる可能性が示唆された。また、ROC曲線による心筋虚血メモリー検出精度は、収縮期最大ストレインレートを用いると、感度70%、特異度80%であった。
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Research Products
(4 results)