2011 Fiscal Year Annual Research Report
虚血メモリーによる心筋虚血診断:メカニズムの解明と新しい超音波診断法の開発
Project/Area Number |
09J03474
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
増田 佳純 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超音波医学 / 虚血性心疾患 / 画像診断 |
Research Abstract |
虚血性心疾患は胸痛発症後急性期の死亡率が高く、早期の診断が必要になるが、胸痛消失後の診断は臨床においてしばしば困難である。よって、心筋虚血が消失した後でも虚血の既往を診断することができれば、診断率の向上が見込まれることから、このような「心筋虚血メモリーイメージング」が望まれている。昨年度の研究より、この虚血メモリーイメージングには拡張期に出現する異常運動(駆出後収縮)を指標とすることが有用であると示唆された。平成23年度は虚血メモリー検出の詳細な検討(虚血メモリー効果の発生メカニズムの検討として、プレコンディショニング効果と虚血メモリーの関係の検討)とパラメトリック表示化を目的に研究を行った。 まず、虚血メモリーに対するプレコンディショニング効果を検討した。麻酔開胸犬を用い、動脈閉塞器と超音波血流プローブを装着後、血行動態が安定するのを待って、冠動脈を短時間(1分)完全閉塞し、再灌流した。この短時間虚血再灌流を2~3回繰り返した後(プレコンディショニング)、壁運動が正常に回復してから、2分間完全閉塞し再灌流させエコー画像を随時取得した。プレコンディショニングにより、虚血メモリー持続時間が従来の持続時間より短縮する傾向が見られた。しかし、プレコンディショニング効果による虚血メモリーの程度は一定ではなく、さらなる検討が必要であると考えられた。 次に、開胸犬を用いた冠動脈完全閉塞-再灌流モデルにて、閉塞前後、再灌流後、後負荷時にエコー画像を取得した。得られた画像を解析し、壁運動指標の変化を評価した。駆出後収縮の指標であるpost-systolic indexをパラメトリック表示化することで虚血領域や駆出後収縮の大きさを判断でき臨床上、有用であると考えられた。
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Research Products
(8 results)