2010 Fiscal Year Annual Research Report
虚血メモリーによる心筋虚血診断:メカニズムの解明と新しい超音波診断法の開発
Project/Area Number |
09J03474
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
増田 佳純 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 超音波医学 / 虚血性心疾患 / 画像診断 |
Research Abstract |
虚血性心疾患は胸痛発症後急性期の死亡率が高く、早期の診断が必要になるが、胸痛消失後の診断は臨床においてしばしば困難である。よって、心筋虚血が消失した後でも虚血の既往を診断することができれば、診断率の向上が見込まれることから、このような「心筋虚血メモリーイメージング」が望まれている。昨年度の研究より、この虚血メモリーイメージングには拡張期に出現する異常運動(駆出後収縮)を指標とすることが有用であると示唆された。平成22年度は虚血メモリーの規定因子の検討を目的に研究を行った。 開胸犬を用いた4分冠動脈完全閉塞・再灌流モデルを正常血圧時及び、圧負荷時にて作製した。閉塞前後、再灌流後にエコー画像を取得した。得られた画像を解析し、壁運動指標(収縮期および拡張期の心筋ストレインやその時間微分であるストレインレート)の変化を評価した。使用薬剤は交感神経α作動薬であるフェニレフリンとした。左室収縮期圧は薬剤注入により平均27mmHg上昇した。その結果、虚血領域の収縮期指標は両群で閉塞時に低下したが、再灌流後速やかに回復した。駆出後収縮の指標であるpost-systolic indexは正常血圧群では、閉塞前と比べ、再灌流約30分間高値を示しその後回復したが、軽度圧負荷群では再灌流後60分においても高値を示した。このことより、後負荷は虚血メモリーの規定因子となると考えられた。
|
Research Products
(5 results)