2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J03490
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大島 佐知子 Nihon University, 理工学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 時間反転不変性 / 電気双極子モーメント / Schiffの定理 / イオンのEDM |
Research Abstract |
本研究の目的は時間反転不変性を破る孤立系電気双極子モーメント(EDM)が複合系である原子に現れるときの大きさを定量的に計算し、基本的対称性の破れに関する研究を進展させることである。原子系のEDMを核子のEDMと関係づけるためにはschiffの定理による遮蔽を考慮する必要がある。実際、このschiffの定理に抵触しないEDMオペレータがこれまで求められてきたわけであるが、このEDMオペレータの期待値も中性原子である限り、電子による1次高い摂動効果により遮蔽されている。従って、この電子による遮蔽を何らかの形で取り除くか、または様々な工夫により電子による遮蔽の効果を最小限にする事がこの研究の重要課題である。電子による遮蔽の効果を抑えるためには、電子を1個か2個取り除きイオンのEDMを考慮するしかない。この時、残った電子がどのような遮蔽効果を生み出すかを調べた。これまでの研究方法と同様に,まず有限サイズ効果と相対論的効果を摂動論で計算した。さらに、核子のEDMが電子からの遮蔽を逃れるため、電子部分による3次の摂動効果がどのような機構により遮蔽をもたらしているのかについて詳細に調べ、遮蔽効果を最小限に抑えるためにはどのような事を考慮し工夫すればよいか検討した。Z個の電子がある原子系で電子を1個取り除きイオンにすると原子核のEDMは1/Zの減少因子はつくが、遮蔽は不完全になることを具体的に示した。
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Research Products
(2 results)