2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内自食作用における隔離膜形成の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
09J03544
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石橋 弘太郎 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分子細胞生物 / 小胞輸送 / Rab / オートファジー / 自食 / 隔離膜 |
Research Abstract |
自食は、真核細胞に保存された細胞内のタンパク質分解のための仕組みの1つで近年様々な生理現象への関与が報告されている。自食を正しく行うためには自食胞と呼ばれる小胞を適切に形成することが不可欠であるが、その形成機構に関しては、未だ不明な点が多い。最近、膜輸送制御因子の1つである低分子量Gタンパク質Rab33Bの自食胞形成への関与が示唆され、Rab33の適切なGTP-GDPサイクリング(あるいは、Rab33Bの不活性化)が重要な役割を果たすことが当研究室により明らかになっている。そこで本研究課題では、Rab33Bの不活性化(Rab33B-GAP)の固定とその機能解析を通して、自食胞形成の分子機構の解明を目指している。これまでの研究によってRab33B-GAP候補分子としてOATLIの同定に既に成功しており、加えて、OATLIのRab-GAPとしての生化学的性質や結合因子の探索や同定を行ってきた。本年度はOATLIと新規結合因子LC3との関係性について研究を進めた。LC3は昨年度の結合因子探索において見出せなかったが、他論文で示唆された結合モチーフをOATLIも有していることから結合因子の候補として検討した。このLC3はAtg8とも呼ばれ、自食作用必須因子の1つであることから興味深い候補であった。実際LC3はOATLIと直接結合し、かつ細胞質中で共局在を示した。続いて結合モチーフに変異を加えた非結合型OATLI変異体を作成し、LC3との結合の意義を検討した。その結果OATLIの過剰発現において見られる自食胞の成熟の遅延が変異体では見られなかった。このことから、OATLIはLC3と結合することで、自食胞の成熟過程を調節している可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的として、OATLIを切り口に隔離膜形成のメカニズムの解明を目指したが、本研究によって、OATLIが自食胞の成熟過程に機能していることを明らかにした。自食胞形成において、OATLIは当初の目的とは異なるステップで機能していることを示したが、この知見は非常に重要であり、おおむね順調に研究が進展しているといえるから。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の一環として、作成したOATLI欠損マウスの解析がほとんど進展していないので、これまでの自食作用研究の結果を踏まえて、解析を進めたい。
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Research Products
(5 results)