2009 Fiscal Year Annual Research Report
接触面内伝播波動のその場観察によるスティック状態とスリップ状態の遷移現象の解明
Project/Area Number |
09J03559
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
前川 覚 Yokohama National University, 大学院・環境情報研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 摩擦の相転移 / 表面波の伝播 / 破壊核の形成と成長 / 前兆現象 / スティックスリップ / 摩擦の制御 / 接触面可視化システム / 多自由度すべり摩擦モデル |
Research Abstract |
平成21年度において,アクリル試験片間のすべり摩擦を対象とした摩擦接触面可視化システムを構築し,以下2種類の研究成果を得た.一つ目の研究成果は,『摩擦の相転移にともなう前兆現象の発生メカニズムの解明』である.摩擦接触面可視化システムを用いて,摩擦の相転移(スティック状態からスリップ状態)における摩擦接触面の動的挙動を可視化した.同時に,多自由度すべり摩擦モデルを構築し,摩擦の相転移における摩擦接触面の動的挙動を数値的に解析した.その結果,摩擦の相転移にともなう前兆現象として,表面波の部分的な伝播により発生する部分スリップ現象を見出した.二つ目の研究成果は,『潤滑状態に依存する2種類の摩擦相転移プロセスの可視化』である.前述した摩擦接触面可視化実験を拡張して,摩擦接触面にポリアルファオレフィン(PAO)を塗布して,摩擦相転移プロセスに及ぼす潤滑の影響を調べた.その結果,摩擦接触面の潤滑状態の違いによって,2種類の摩擦相転移プロセス(表面波の伝播による急激な摩擦相転移プロセスと破壊核の成長による緩やかな摩擦相転移プロセス)が存在し,それらが同一システム内において共存することを見出した.これら2種類の研究成果は,地震の発生や工業製品の破損等を事前に回避する予知システムの構築に向けて一つの可能性を提示するものと考えられる.また,同研究成果は,静止摩擦と動摩擦の発生メカニズムの解明に向けての重要な知見になることから,本研究の最終目標である『摩擦の制御』に向けての大きな足がかりになると期待される.
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Research Products
(8 results)