2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J03618
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高木 信伍 Kanazawa University, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | microRNA / HNF4α / 薬物動態 / 肝臓 / 胆汁酸合成 |
Research Abstract |
MicroRNA(miRNA)は標的mRNAと部分相補的に結合し、翻訳抑制もしくはmRNAの分解を引きおこす、タンパク質をコードしない小分子RNAである。肝臓は薬物、糖および脂質などの代謝反応において重要な組織であるが、miRNAによる遺伝子発現調節がどのような影響を与えるか明らかにされていない。本研究は様々な代謝酵素の発現を調節する転写因子ヒトhepatocyte nuclear factor 4α(HNF4α)に注目して検討を行った。ヒトHNF4α mRNAの3'非翻訳領域と相補的なmiRNAを探索したところ、miR-24およびmiR-34aが高いスコアで見出された。肝癌由来HepG2細胞にこれらのmiRNAを過剰発現させると、HNF4αのタンパク質発現量は顕著に低下した。また、レポーターアッセイによりmiR-24およびmiR-34aはそれぞれHNF4αの翻訳領域および3'非翻訳領域を認識して発現を抑制することが示唆された。また、胆汁酸合成酵素であるCYP7A1や糖新生関連酵素であるPEPCKなどのmRNA発現量がmiRNAの導入によって顕著に低下した。さらに、この制御が細胞の形態学的な変化を誘導し、S期の細胞を減少させることをFACSを用いて明らかにした。従って、miRNAによるHNF4αの発現抑制は肝臓における様々な代謝反応に影響を与えるだけでなく、肝細胞の分化、増殖にも影響を与えることが示唆された。一方で、これらのmiRNAの発現が胆汁酸によって活性化されるPKC/MAPK経路および活性酸素種の産生により発現が上昇することを明らかにした。以上、本研究により、胆汁酸が蓄積するとmiR-24およびmiR-34aの発現が上昇し、胆汁酸合成を促進するHNF4αの発現が低下するという一連の制御メカニズムを明らかにした。
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Research Products
(4 results)