2011 Fiscal Year Annual Research Report
超高感度レーザー干渉計による巨視的力学系の標準量子限界の研究
Project/Area Number |
09J03624
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 匠 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | レーザー干渉計 / 重力波検出器 / 精密計測 / 輻射圧 |
Research Abstract |
平成22年度に引き続き、懸架型の超小型鏡を用いて、量子雑音、特に輻射圧由来の雑音が顕在化するようなレーザー干渉計システムを開発している。 重力波検出器においては、光の持つ力学的運動量の量子力学的な振る舞いが鏡という巨視的な質量の運動に影響を与える現象の観測が予測されている。そしてそこから導かれる量子論的な測定限界が将来的に重力波検出器の感度限界を定めると言われている。本研究の目的はそのような現象を測定し、またその現象を利用した先進的な感度向上技術を実証しうる小型レーザー干渉計システムを作成することである。システムの特徴としては、非常に軽量の鏡を用いた懸架システムを用いることで、レーザーの輻射圧が鏡の運動に与える影響を強め、量子限界により到達しやすくなる構成をとっている点を挙げることができる。 これまでの開発の中で、輻射圧による鏡の角度方向の運動の不安定性が励起されることが非常に大きな問題となることが分かってきた。そこで、平成23年度は主に鏡の角度方向の位置制御システムの開発実験を行ってきた。鏡の角度制御システムとして光共振器内の輻射圧を利用する手法を提案し、その世界初の実証に成功した。実験的には、まず角度方向の運動の共振モードの周波数が共振器内部の光強度で変化する効果を測定し、輻射圧による不安定さが発生していることを確認した。その上で、角度揺れの検出装置からの信号をフィードバック制御し、角度揺れを5分の1に抑制できることを示した。このように、光の圧力による不安定性を光の圧力で制御した例は、世界的にほとんど例のないことであり、この結果は、今後のこの分野の進展に大きな寄与が期待できる。
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Research Products
(3 results)