2010 Fiscal Year Annual Research Report
J-PARCでのハイパー核ガンマ線分光による核内バリオンの性質変化の研究
Project/Area Number |
09J03641
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
細見 健二 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ハイパー核 / ストレンジネス / ラムダ・核子相互作用 / J-PARC / ガンマ線分光 |
Research Abstract |
本研究は、原子核内に入ったラムダ粒子の性質変化を明らかにすることを目的としている。その手法として、ラムダハイパー核から放出されるM1遷移ガンマ線の精密測定実験を行い、ドップラーシフト減衰法を用いて励起状態の寿命を求める。この実験はJ-PARC K1.8ビームラインで行われる最初のハイパー核ガンマ線分光実験E13の主要なテーマの一つである。H22年度における研究として、E13実験のための検出器の制作とテストを行った。H21年度に続いてJ-PARCでのハイパー核ガンマ線分光実験用に特化した大型Ge検出器群Hyperball-Jの制作を行った。Hyperball-Jに組み込まれるPWO結晶を用いたコンプトン抑止カウンターについて、シリカエアロゲルを用いた断熱材を組み込んだ冷却機構付き検出器ユニットを開発した。制作したPWO検出器ユニットとGe検出器ユニットをHyperball-Jに組み込み、放射線源を使った性能テストを行った。その結果をシミュレーションと比較したうえで設計通りに検出器を制作できていることを確認した。磁気スペクトロメータ系の検出器として、ビームK中間子の崩壊によるバックグラウンドを抑制するSPO検出器の開発を行った。K1.8でSPO検出器にテストビームを照射し、性能評価を行った。その結果をシミュレーションと比較し、バックグラウンド抑制カウンターとして要求される性能を満たしていることが分かった。また、FPGAモジュールを用いたトリガーシステムを構築し、同実験で十分な性能をもつことを確認した。このトリガーシステムはE13実験だけでなく、今後K1.8で計画される様々な実験に応用することができる。
|
Research Products
(5 results)