2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J03656
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々田 槙子 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 格子気体 / 流体力学極限 / 拡散方程式 / 退化した飛躍率 |
Research Abstract |
これまで数学的に厳密な先行研究のなかった、排他条件を課さない退化した飛躍率を持つ格子気体モデルについて、初めてその性質を解析し、流体力学極限を証明した。このことから、ある程度広いクラスの退化放物型偏微分方程式をマクロなパラメータの発展方程式として持つような、ミクロな物理系を得ることができた。すなわち、この研究で導入した飛躍率を粒子間の相互作用として持つような系の、粒子の密度の時間発展は、ある退化放物型偏微分方程式の解となるということを明らかにした。さらに、この偏微分方程式の具体形も得た。 さらに、勾配条件を満たさず、さらに時間的に非可逆な格子気体モデルの流体力学極限の証明の一般論についても新たな知見を得た。これは、退化した飛躍率を持つ格子気体モデルを含む非常に幅広いクラスの格子気体モデルの流体力学極限の研究に対し、意義のあるものである。 また、本年度、格子気体モデルの粒子密度のマクロな時間発展の概形を数値シミュレーションにより求める手法を確立することができた。最新の計算機により、ランダムな系の平均的な振る舞いについてのよい近似を得ることが可能となった。その結果と流体力学極限の主張を考察することで、与えられた偏微分方程式の近似解を得ることや、これまで明らかになっていなかった拡散係数の密度の関数としての変化を知ることができる。この数値シミュレーションは、物理的直感が働きにくい退化した飛躍率を持つ格子気体モデルの性質についてのある程度の予想を得る上で、特に重要なものである。
|
Research Products
(1 results)