2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J03656
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々田 槙子 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 流体力学極限 / 格子気体モデル / 相互作用粒子系 |
Research Abstract |
非勾配型非可逆過程の流体力学極限の証明において重要な条件である「sector condition」の証明手法について、幅広い広いクラスのモデルに適用できる新たな方法を得た。一般に、ある種の条件を満たす格子気体モデルに対する、拡散型スケーリングのもとでの流体力学極限により得られるマクロなパラメータの発展方程式は、拡散方程式となる。この拡散方程式の拡散係数の評価が、系のマクロなふるまいを知る上で重要であるが、この「sector condition」の証明のために導入した手法を用いることで、非可逆過程から得られる拡散係数に対する興味深い複数の評価式が得られることもわかった。退化した飛躍率を持つ格子気体モデルが非勾配型かつ非可逆である場合、その流体力学極限の証明は非常に困難であると考えられており、まだ先行研究がないが、この証明手法を用いることで、近い将来、この証明が可能になると思われる。 また、国内外の研究集会でこの結果を発表したことにより、これまで行われてきた先行研究結果との関連が明らかになり、本研究の重要性が様々な角度から見直された。一つは、完全非対称相互作用排他過程の拡散型スケーリングのもとでの流体力学極限が、本研究により初めて得られたことである。完全非対称相互作用排他過程については、放物型スケーリングのもとでの流体力学極限が、既に複数の研究者により研究されてきていたが、拡散型については未解決であった。そのため、本結果は国外の研究者からも高く評価された。また、拡散係数に対する詳細な評価もこれまでにはほとんど知られておらず、本研究で得られた手法は汎用性が高いため、今後多くの応用が期待されている。
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Research Products
(11 results)