2011 Fiscal Year Annual Research Report
珪藻の酸素発生光化学系II複合体の精製とその特性解析
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09J03668
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長尾 遼 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 光化学系II複合体 / 珪藻 / 光合成 |
Research Abstract |
珪藻は、世界中の熱帯雨林が吸収する二酸化炭素量と同程度の量を吸収する水域圏で最も重要な植物プランクトンである。私はこれまでに、海産の中心目珪藻Chaetoceros gracilisから酸素発生光化学系II複合体(系II)を単離し、珪藻の系IIの特性について明らかにしてきた。一方、系IIタンパク質のほとんどが、室温・暗所という条件で分解することを見いだした。本年度は、(1)結晶化に向けた系II標品の更なる精製、(2)高分解活性をもつプロテアーゼの検出、の2点に着目し研究を進めた。 (1)精製された系IIには、ルビスコや若干のアンテナタンパク質FCPが残っているため、イオン交換クロマトグラフィーによる更なる精製を試みた。しかし、精製の過程で表在性タンパク質が容易に外れてしまうため、界面活性剤の濃度や塩濃度などの更なる条件見当が必要である。 (2)チラコイド膜を材料とし、プロテアーゼの検出と局在解析を試みた。チラコイド膜タンパク質の分解が、EDTAやPMSFで抑制されたことから、金属型とセリン型のプロテアーゼが作用していると考えられる。カゼインタンパク質を含んだゲルで電気泳動を行いプロテアーゼ活性を検出するzymography法により、3種の金属型プロテアーゼと1種のセリン型プロテアーゼがチラコイド膜から検出された。チラコイド膜を可溶化後、ショ糖密度勾配遠心やNative PAGEにより、プロテアーゼがFCPに結合していることが示唆された。現在、プロテアーゼの同定を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
系II標品の精製が不十分なこと、タンパク質量の不足が理由として挙がる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、系II精製の条件検討が必要となる。具体的には、界面活性剤の種類や濃度、塩濃度、そしてクロマトグラフィーのプログラムを変えることで、適した条件を模索する。
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