2009 Fiscal Year Annual Research Report
DNAメチル化に依らないゲノムインプリンティング機構
Project/Area Number |
09J03684
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
千葉 初音 The Graduate University for Advanced Studies, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ゲノムインプリンティング / DNAメチル化 / 生殖細胞 |
Research Abstract |
哺乳類には父親または母親由来どちらか一方の相同染色体からのみ発現するインプリント遺伝子がある。この片親性発現はゲノム上に散在するDMR(Differentially methylated region)のメチル化によって制御されると考えられてきたが、近年発生過程でDNAメチル化を消失しても、いくつかのインプリント遺伝子は片親性発現を維持するという報告がなされた。そこで私はゲノムインプリンティング確立にも、DNAメチル化非依存的な機構が存在するのではないかと考えた。 交付申請書の研究計画に記載した通り、成長期卵特異的にDnmt3a,Dnmt3bを欠損する雌マウスと野生型の雄マウス交配させ、[Dnmt3a^<-/+>,Dnmt3b^<-/+>]胎生9.5日胚を得た。この胚は卵由来のDNAメチル化インプリントを欠損しており、インプリント遺伝子の片親性発現が異常になっているはずである。これを確かめるために胚のmRNAを抽出し、両アリル間のSMP(単塩基置換)を調べることで、インプリント遺伝子がどちらのアリル由来の発現なのかを判別した。 マウスのゲノム上では現在15箇所のDMRが確認されており、そのうち12箇所は卵で、3箇所は精子でメチル化されている。卵でメチル化されるDMRが発現を制御するインプリント遺伝子を解析したところ、インプリントを保つ3つの遺伝子(Kcnq1,Cd81,Dcn)が見つかった。これはゲノムインプリンティング確立にはDNAメチル化に非依存的な機構が存在することを示している。またこれらの遺伝子の発現量はReal-time PCRで定量したところ、野生型に比べ[Dnmt3a^<-/+>,Dnmt3b^<-/+>]胚では低かったことから、DNAメチル化依存的・非依存的なメカニズムが両方存在することを示唆している。
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Research Products
(3 results)