2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J03692
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石原 比伊呂 The University of Tokyo, 史料編纂所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 室町時代 / 公武関係 / 雅楽 / 足利氏 |
Research Abstract |
本年度は、二本の論文を公にし((1)「『内侍所御神楽部類記』にみる足利義満と室町前期の公家社会」<東京大学史料編纂所研究成果報告2008-1目録学の構築と古典学の再生-天皇家・公家文庫の実態復原と伝統的知識体系の解明-2007(平成十九)年度~2008(平成二十)年度科学研究補助金学術創成研究費課題番号19GS0102』(研究代表者田島公)>、(2)「南北朝期における足利家の笙」<『史友』四二>)、さらには三本の論文草稿を作成して、投稿に備えるに至った((3)『足利尊氏・直義と公家社会』(4)『義詮期における足利将軍家の変質」(5)『北山殿行幸再考』)。また、歴史学研究会中世史部会の月例例会や、東京大学中世史研究会の月例例会にも定期的に参加し、学会の活性化に資してきた。 (1)においては、東山御文庫所蔵の『内侍所御神楽部類記』を素材に、一四世紀後半の公家社会における朝儀のあり方を具体的に復元したもので、当該期の内侍所御神楽に対して、足利義満がどのような関わり方をしたかについて言及した。そこでは、義満の公家社会に対する積極的関与が、従来の研究で言われている永和・永徳年間よりは幾分遅れること、義満の擬天皇化は今谷明氏が述べる著名な「王権簒奪計画」とは異なる脈絡でしか理解できないことなどを明らかにした。 また(2)については足利家と雅楽器の笙との関わりについて考究したものであるが、既存の研究史では不明であった、なぜ足利尊氏の笙が嫡子の義詮ではなく、次子の基氏に伝えられたかがという疑問点に、一定の解答が与えられたものと考える。
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Research Products
(1 results)