2009 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠中に胎児に流入する母体細胞による細胞内寄生性病原体の新たな垂直感染機構
Project/Area Number |
09J03728
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
海野 明広 Gifu University, 連合獣医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Toxoplasma gondii / ヒアルロン酸レセプター |
Research Abstract |
妊婦がトキソプラズマ原虫に初感染した場合、流産や胎児の先天性疾患を引き起こすことが知られている。細胞内寄生性である本原虫は、経口摂取されて母体の腸管から侵入した後、母体白血球に感染した状態で胎盤へ運ばれる。これまでに血球に感染した病原体が細胞表面の接着因子の発現量を調整し,感染細胞の組織への浸潤能を増強する例が報告されている。本原虫においても感染細胞表面の接着分子の発現量を変化させることによって効率良く全身伝播している可能性が考えられた。そこで本原虫が母体白血球表面に発現する接着因子の発現量を変化させるかどうか検討した。実験にはヒト単球様細胞(THP-1)を用いた。原虫侵入細胞と非侵入細胞表面のピアルロン酸(HA)に対するレセプター(CD44、ICAM-1)の発現量の比較を行ったところ、いずれの分子も感染細胞の方が高かった。そこで原虫侵入細胞が非侵入細胞と比べてHAに優先的に接着できるかどうか調べるため,HAをコートしたプレートに原虫侵入細胞と非侵入細胞の混合液を加え接着実験を行った。接着した細胞の感染率は接着実験を行う前の細胞の感染率よりも高かった。この結果は感染細胞が細胞外マトリックスのHAに効率良く接着している可能性を示唆している。妊娠後期の胎盤では,血液胎盤関門を構成する胎児来胎盤組織のHAが母体血液に直接曝露されていると考えられている。母体血液と接する胎児由来胎盤組織の表面に本原虫感染母体細胞が吸着している可能性が考えられる。
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Research Products
(3 results)