2010 Fiscal Year Annual Research Report
未分化ES細胞に高発現する2因子ECAT15-1,15-2の機能解析
Project/Area Number |
09J03731
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 友紀 京都大学, iPS細胞研究所, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ES細胞 / ノックアウトマウス / 転写因子 |
Research Abstract |
組織特異的な発現様式をもつ転写因子は、発生や器官形成に特に重要な役割を担うと考えられている。ECAT15-1とECAT15-2はES細胞や胚盤胞期で高発現する因子として発見された。この二つの遺伝子は染色体上近傍に並んでおり、アミノ酸配列は互いに相同性だけでなく同じDNA結合モチーフを持つ。本研究において私はこの二つの遺伝子の生体内での機能を調べるため、それぞれ単独、または同時に機能欠損する3系統のマウスを作製、解析した。 機能欠損マウスが示す表現型として、ECAT15-1,ECAT15-2の発現様式から看床前後胚もしくは生殖機能に異常を示すと予想された。しかし予想に反し、三系統の機能欠損マワスとも出生前後での肺組織異常により高い致死性を示すことが明らかとなった。またECAT15-2単独機能欠損マウスよりも、ECAT15-1,15-2同時機能欠損マウスのほうがより重篤な症状を示すことが明らかとなり、この二つの遺伝子は構造上のみならず、機能的に関連があることが示された。 肺組織に異常がみられることから、発生後期胚でのECAT15-1,ECAT15-2の発現を調べたが、生殖巣以外の発現が認められなかった。またES細胞において生化学的手法を用いてECAT15-1,ECAT15-2について調べたところ、これら二つのタンパク質はタンパク質間相互作用することが分かった。 これらのことから、ECAT15-1、ECAT15-2は着床前後胚において何らかの作用をすることで、胚発生後期に重要な役割を担っていることが示唆された。 これまで、遺伝子は発現している組織において重要な機能を持ちうると考えられてきた。しかし、本研究では、ECAT15-1、ECAT15-2は時間を超えて組織発生に重要な役割を果たしうることを示した。これは今までにない遺伝子発現・組織発生における新規メカニズムであると考える。
|
Research Products
(4 results)