2010 Fiscal Year Annual Research Report
アフマド・スールカティー―東南アジアのアラブ人団体「イルシャード」の設立者―
Project/Area Number |
09J03738
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山口 元樹 慶應義塾大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | イスラーム / 東洋史学 / インドネシア、エジプト / 近現代史 |
Research Abstract |
本研究は、1914年に設立されたインドネシアのアラブ人協会「イルシャード」の活動を分析するものである。本研究の目的は、これまで十分に検討されてこなかった協会の指導者・設立者、アフマド・スールカティーの役割に着目することによって、中東のイスラーム改革主義運動の影響を受けた組織という観点からイルシャードを分析することである。平成22年度に実施した研究内容は次のとおりである。 まず、史料・文献収集のために、シンガポール(2010年4月10日から13日)とインドネシア(2010年10月2日から年10月21日まで及び2011年2月5日から23日まで)において調査を実施した。シンガポールでは、文献を集めるとともに、4月10日と11日に開催された国際会議、"Rihlah:Arabs in Southeast Asia"にも参加した。インドネシアでは、ジャカルタとボゴールに滞在し、主なものとして、20世紀前半に発行されたアラビア語とインドネシア語(ムラユ語)の新聞・雑誌、イルシャードが発行した冊子類を集めた。 次に、研究成果の発表としては、2010年7月30日に東京外国語大学で開催されたlnternational Workshop on the Emergence and Dynamic of Various Islamic Variants in Indonesia (Bilateral Program : Joint Research Project, JSPS-LIPI)における"Transformation of the Identity of Al-Irsyad : From a Hadhrami Organization to an Indonesian Muslim Organization"と、2011年2月28日と3月1日に南山大学で開催されたセミナー「東南アジアのマイノリティ・ムスリム」における「オランダ領東インドにおけるアラブ人協会『イルシャード』の教育活動-アフマド・スールカティーの改革主義思想とその影響-」がある。これらの発表では、オランダ統治期からインドネシア独立後までのイルシャードの変化を、イスラーム改革主義と関連付けて明らかにした。後者の発表内容に基づいた論文を『東洋学報』に提出し、現在審査中である。
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Research Products
(2 results)