2009 Fiscal Year Annual Research Report
信頼性の高い有効模型によるQCD相構造の定量的解明
Project/Area Number |
09J03750
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
境 祐二 Kyushu University, 理学研究院, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | QCD相図 / 虚数化学ポテンシャル / 符号問題 / 格子QCD / PNJL模型 |
Research Abstract |
昨年度において、PNJL模型が虚数化学ポテンシャル領域において第一原理計算を定性的に再現する有効模型であることがわかったので、本年度は、PNJL模型と第一原理計算との定量的比較を行った。閉じ込め相転移の秩序変数に関しては、PNJL模型は第一原理計算結果を定量的によく再現することがわかった。カイラル相転移の秩序変数に関しては、通常の有限密度の研究に用いられているPNJL.模型では虚数化学ポテンシャル領域における第一原理計算を再現できなかった。そこで、我々はベクター型相互作用およびより高次の相互作用の効果を考慮し、これらの相互作用の大きさを調節することで虚数化学ポテンシャル領域における第一原理計算を再現することに成功した。特に、ベクター型相互作用の大きさは零密度の物理に影響しないため、今までその結合定数の大きさは不定パラメータとして扱われてきたが、我々は虚数化学ポテンシャル領域において第一原理計算と比較することで決定することができることを示した。 次に、虚数アイソベクター型化学ポテンシャル領域においても研究した。アイソベクター型化学ポテンシャル領域では、第一原理計算を化学ポテンシャルが1数でも虚数でも行うことができ、両領域で第一原理計算とPNJL模型計算を比較することで我々のアプローチの妥当性を示すことができる。そのためにも、虚数アイソベクター型化学ポテンシャル領域を研究することは意味がある。また、この領域の第一原理計算を用いた研究が本年度の初めに行われだこともあり、この領域においてPNJL模型との比較を行った。虚数アイソベクター型化学ポテンシャル領域においても、PNJL模型は第一原理計算結果を定性的に再現することがわかった。
|
Research Products
(11 results)