2009 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本人口移動転換 第二の人口移動転換をめぐって
Project/Area Number |
09J03759
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
丸山 洋平 Keio University, 政策・メディア研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 人口移動 / 人口移動構造 / 家族形成行動 / 少子化 / 晩婚化 / 家族規範 / 人口転換 / 人口移動転換 |
Research Abstract |
1960~70年代コーホートは未婚率が高く、少子化を牽引しているという点に着目し、婚姻属性から1990年代後半以降の人口移動を説明するという、当初の研究目的は継続している。しかし、今年度の研究内容は研究実施計画とは異なり、先行研究で示されている家族形成行動が人口移動構造を創出するという関係に基づき、晩婚化という新しい家族形成行動によって発生する新しい人口移動構造(少子化時代の人口移動構造)の仮説構築に注力した。その仮説の枠組みは以下の通りである。 日本の少子化は1960~70年代の未婚率が高い(特に女性)ことが原因であり、若年未婚女性が相対的に増加している。未婚者は既婚者よりも移動しやすく、社会的性差の縮小による女性の進学・就職の増加と相まって、それらの機会の多い大都市圏への女性の移動が拡大する。そして、それらの女性がそのまま大都市圏に留まり、さらに、結婚を選択しない傾向が強いために、大都市圏の未婚率が上昇するという関係があると考える。これは晩婚化が移動者を増やし、移動者が晩婚化を促進させるという相互関係を示したものであり、移動晩婚相互作用仮説と命名した。 東京圏を対象に、この仮説の有効性を検証したところ、女性の大都市圏への移動の変化に関する分析からは、新しいコーホートほど、10~14歳から20~24歳にかけての社会増加への女性の寄与が拡大していることと、20~24歳以降の人口減少が小さくなっていることが確認された。さらに未婚率のシミュレーションを行ったところ、東京圏出身で継続して居住する女性よりも東京圏外出身の女性の方が未婚率が高く、結婚を選択しない傾向が強いこと、さらにその未婚率の差が新しいコーホートほど大きくなっていることが明らかとなった。以上の分析結果から、移動晩婚相互作用仮説で提示する人口移動構造が実在する可能性が高いことが示された。
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Research Products
(2 results)