2010 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化症極早期診断のための血管壁粘弾性特性の過渡変化の超音波計測に関する研究
Project/Area Number |
09J03796
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
池下 和樹 東北大学, 大学院・医工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 動脈硬化症 / 血管壁粘弾性 / 超音波 / 境界検出 |
Research Abstract |
本研究の目的は,これまでの研究により構築した高周波超音波計測システムにより得られる超音波信号から,動脈壁の微小ひずみを安定かつ高精度に自動推定するための独自の信号処理手法および得られたひずみと血圧波形から動脈壁粘弾性特性を推定する手法を開発して臨床応用可能な血管内皮機能評価・血管壁粘弾性特性計測法として確立することにある. 本年度は,粘弾性特性計測において,微小ひずみ計測を行うためにその変位追跡が必要となる動脈壁境界(内腔-内膜境界(LIB),中膜-外膜境界(MAB))を自動検出する手法に関する検討を行った.計測超音波RF波形とモデルRF波形間のテンプレートマッチングを行う解析手法を開発してLIBおよびMABを推定し,客観的な境界位置の推定と計測者依存の誤差を低減することを試みた.本年度は,新たな解析装置によるテンプレートマッチングのアルゴリズムを構築することができた.[K.Ikeshita et.al.,2011(accepted)]この境界検出法は,従来の手動設定と比較して客観的な壁位置を決定することができ,粘弾性特性計測における曖昧性も低減できたと考えられる. 血管壁境界位置の客観的な推定や計測者依存の誤差の低減は,粘弾性特性推定の精度に直接影響するため非常に重要である.今後は,粘弾性特性推定手法にひずみ速度計測精度の向上等の改良を加えた後に組み合わせる.また,粘弾性特性の異なる模擬血管に適用し精度評価を行う.さらに,in vivo計測における誤差の検討を行った後,複数被験者におけるデータ計測や解析を行い,被験者間の差異などから評価基準の検討を行うことによって,最終的な目標である臨床応用可能な内皮機能評価・血管壁粘弾性特性計測法として確立する.
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