2009 Fiscal Year Annual Research Report
気液平衡状態近傍での蒸気の質量・運動量・エネルギー輸送に関する分子気体力学解析
Project/Area Number |
09J03809
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
稲葉 匡司 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 蒸発 / 凝縮 / 蒸発係数 / 分子気体力学 / Gaussian-BGK Boltzmann方程式 / 漸近理論 |
Research Abstract |
気体論境界条件に含まれる蒸発係数と呼ばれる未知パラメータの実験値を決定するための理論構築を目的とし,気液界面において蒸発・凝縮をともなう平面音波の共鳴を分子気体力学にもとづき詳細に調べた.本解析結果と本研究に対応する音波共鳴管を用いた実験結果を融合する蒸発係数の決定方法を提案し,気液平衡状態近傍における気体論境界条件の確立を目標とする.問題設定として,調和振動する振動平板と剛体壁面上に形成された薄い液膜に挟まれた一次元空間を考え,その空間内には液体と同一種の多原子分子気体で満たされているとする.気体の支配方程式として多原子分子気体に拡張されたGaussian-BGK Boltzmann方程式を用い,音源における境界条件として拡散反射を仮定し,気液界面における境界条件として蒸発係数を含む混合型の境界条件を用いた.解析方法には,Gaussian-BGK Boltzmann方程式のKndsen数が0の極限における漸近理論(弱非線形理論)を用いた.解析の結果,以下のことを明らかにした.1.空間は音波に支配される領域,境界近傍に形成される温度境界層および非平衡領域であるKnudsen層に分けられる.2.蒸発係数のオーダーが1における共鳴解を導出し,共鳴において衝撃波は形成されず,気体の運動は境界近傍を除いておおよそ線形波動方程式に従う.3.気体の圧力振幅は蒸発係数の値に依存する.4.蒸発係数の値が小さい場合は,高次近次解析が必要となる.
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Research Products
(3 results)