Research Abstract |
因子分析は,観測される多変量の変数から観測されない潜在因子を見出すモデルであり,心理学や社会科学,生命科学をはじめとする様々な分野で応用されている.このモデルに含まれるパラメータを最尤法で推定すると,分散の推定値が負となる不適解問題が発生することがあり,解決すべき重要な問題として知られている.さらに,推定されたモデルの解釈は,因子数に依存するため,適切な因子数をどのように推定するかということが本質的となる.本研究では,不適解に対処して,適切な因子数を選択する新しいモデリング手法を提案した.まず,不適解問題に対処するため,ベイズアプローチに基づくモデルの推定を行った.パラメータの事前分布として,不適解の原因を追究することによって,指数分布を導出した.さらに,因子数と事前分布に含まれるハイパーパラメータの値を選択するために,モデル評価基準を導出した.また,因子分析モデルを一般化した構造方程式モデルにおいても,因子分析と同様に不適解問題が発生することが知られている.そこで,因子分析で提案した基本的な報論を拡張して,構造方程式における不適解の対処法を提案した. 対数尤度関数に罰則項を加えた罰則付き最尤法に関する研究にも取り組んでいる.この手法は,たとえばサンプル数よりパラメータ数のほうが大きい複雑な構造を有する遺伝子データに有効であることが知られており,近年急速なスピードで研究開発がおこなわれている分野の一つである.特に,Lassoをはじめとする,多くの係数パラメータを0に縮約させる手法を中心に研究開発を行っている.さらに,これらの手法を因子分析モデルや構造方程式モデルに適用することにより,変数選択を行い,かつ新たな単純構造を見いだすことができることがわかった.
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