2009 Fiscal Year Annual Research Report
スペイン帝国の崩壊と太平洋貿易ネットワークの再編過程の研究
Project/Area Number |
09J03825
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岸谷 貴之 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 太平洋 / 中国:フィリピン:メキシコ:アメリカ:スペイン / ガレオン貿易 |
Research Abstract |
本研究の目的は、トランス・パシフィックな視点を以って、(1)19世紀の前半における、メキシコ太平洋岸(現米領カリフォルニアを含む)の貿易実態を明らかにし、それを踏まえて(2)その現実がメキシコ及び英米の太平洋構想にどう反映されたのかを解明することであり、本年度は目的(1)を中心に研究を進めた。具体的には、イギリスForeign Office所蔵のF.O.50シリーズ、およびメキシコ国立総文書館所蔵のMarinasとMovimiento Maritimoシリーズの翻刻をし、メキシコ太平洋岸に寄港した船舶数、積荷、乗組員の構成などの情報のデータベース化を進めた。また、データベースを完全なものとするべく、フィリピン国立文書館のガレオン貿易関係資料の翻刻・整理・目録化を進めるとともに、セビリアのインディアス古文書館にてフィリピン関係の史料を収集した。これらのデータベース化作業は現在進行中である。また、目的(2)に関しても、アメリカ大陸を拠点とするイギリス商人たちが、どのような太平洋構想を持っていたのか、当時の地理、歴史、紀行書を中心として明らかにした。この成果は現在論文として発表すべく準備中である。さらに、メキシコの太平洋観が、アメリカ合衆国の北西部条例と「明白な天命」に影響を受け、どのような形で変容を遂げるのか、北米大陸の地政学を踏まえながら、同時代史料を分析した。こちらも、その成果を公表すべく論文執筆作業を進めている。
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