2009 Fiscal Year Annual Research Report
ノシセプチン疼痛受容体の純アンタゴニストの分子設計と鎮痛作用
Project/Area Number |
09J03830
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
李 京蘭 Kyushu University, 理学研究院・化学部門, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ORL1受容体 / ノシセプチン / アンタゴニスト / Alaスキャンニング |
Research Abstract |
ORL1受容体の痛み伝達機構を遮断するアンタゴニストは鎮痛剤として強く期待されている。申請者はORL1受容体の活性化を遮断・妨害する純アンタゴニストの合成に成功した。具体的に、Ac-RYYRIK-NH_2のN末端のメチル基結合の炭素原分を他の原子に置換し、その構造要因とアゴニズム-アンタゴニズムの相関について詳細な構造活性相関解析を行った。その結果、S-CH_3基をもつメチルチオ基(MeSAc:CH_3-S-CH_2-CO)に置換したMeSAc-RYYRIK-NH_2がORL1受容体に対して高い結合親和性を保持する、強く純粋なアンタゴニストであることが判明した。これにより、特定の配向および距離をもつメチル基が受容体との相互作用に重要な構造要因となり、アンタゴニスト活性の決定因子となることが判明した。 また、ORL1受容体に注目し、ノシセプチンによるORL1受容体の活性化に必須な構造要因の解明を目的に、アミノ酸残基を網羅的にAla残基に置換するAlaスキャンニング法を実施し、系統的な構造活性相関解析を行った。さらに、ホモロジーモデリングにより構築したORL1受容体の3次元構造に合わせて考察することでより詳細な構造-活性相関解析を実施した。これらの解析から、(1)内在性リガンド・ノシセプチンの結合に必須なアミノ酸残基、(2)ORL1受容体の活性化に重要なアミノ残基、そして(3)受容体活性化構造の構築に必須なTM間のパッキング領域に存在するアミノ酸残基を同定した。 構造と活性との相関間係を解明することは、受容体の機能解明に貴重な構造情報を提供すること、また、リガンドと受容体の双方から分子機構を解析する受容体化学の手法は、リガンド-受容体間の構造要因の特定にきわめて有用であることが判明した。
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Research Products
(5 results)