2011 Fiscal Year Annual Research Report
人工多能性幹細胞の奇形腫形成危険度を予測する評価系の構築
Project/Area Number |
09J03843
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大貫 茉里 京都大学, iPS細胞研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヒトiPS細胞 / 安全性評価 / 奇形腫 |
Research Abstract |
ヒトiPS細胞を腫瘍形成高リスククローン及び低リスククローンに分類 分化誘導後も未分化細胞が残存する異常なヒトiPS細胞クローンの存在について検討した。 14日間の神経分化誘導後、ニューロスフェア中に再現性良く未分化細胞が残存するiPS細胞を高リスククローン、残存が1%以下のiPS細胞を低リスククローンとした。またこの高リスククローンから、単細胞由来のサブクローンを樹立したところ、一部のサブクローンは分化誘導後未分化細胞が残存しない低リスククローンであった。 in vivoにおける高リスククローンの危険性の評価 高リスククローンを含むヒトiPS細胞およびES細胞を用い、ドーパミン産生ニューロンの分化誘導を行った。29日間の分化誘導後、NOD/Scidマウスの脳に移植を行った。高リスククローン由来の細胞を移植したマウスでは移植辺が奇形腫を形成することがわかった。高リスククローンを排除する本研究の重要性を支持する結果だと考えている。 危険性関与因子の候補を抽出 高リスククローン群と低リスク群(サブクローン含む)の発現比較を遺伝子発現マイクロアレイを用いて行い、高リスク群特異的に発現している遺伝子リストを得た。このリストの中には、同様の配列をもつプロモーターにより発現上昇している複数の遺伝子が含まれていた。プロモーターの活性を調べたところ、低リスククローンおよび体細胞では高い割合でDNAのメチル化が見られたのに対し、高リスククローンではピストンH3K4がトリメチル化されていた。このことから、高リスククローンではこのプロモーターの活性化が起きている可能性が強く示唆された。iPS細胞の安全性と分子メカニズムとの関連を解き明かすうえで重要な知見であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Reason
該当なし
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Strategy for Future Research Activity |
該当なし
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Research Products
(5 results)